KDDI,KDDI研究所およびシスコシステムズの3社は5月21日,第3世代携帯電話(3G)と無線LANのデータ通信を自動的に切り替える実証実験に成功したと発表した。自動車などで移動しながらデータ通信する場合を想定した実験で,データ通信方式が異なる3Gと無線LANの間でのデータ通信が,移動中でもシームレスに切り替わることを確認した。通常は携帯電話網を使ってデータ通信し,無線LANサービスが使える場所に入った時には自動的にネットワークを無線LANに切り替える,といった使い方が可能になる。

 3社の実験システムは,具体的には下記の通り。(1)KDDI(au)が提供中の3Gサービス「cdma2000 1x」(最大144kビット/秒)の対応端末,(2)2003年4月から試験サービスを始める「1xEV-DO」(最大2.4Mビット/秒)対応端末,(3)シスコシステムズの無線LAN(最大11Mビット/秒)端末--を,シスコシステムズが開発した「モバイルルータ」で接続し,車内に設置。同ルーターに,アプリケーション動作用のパソコンやネットワーク・カメラを車内LANで接続した。その上で,上記三つの異なる無線方式のエリア間を移動しながら,データ通信が問題なくシームレスに継続されるのを確認した。

 3社は今後,アプリケーションに応じてより効率的に3Gサービスと無線LANを切り替える仕組みや,固定網との融合に向けた検証を進める。主に自動車への搭載を狙って,業界団体などとの協力を進める考えだ。同実験システムは,本日から東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催された「ビジネスシヨウ 2002 TOKYO」のKDDIのブースで展示されている。実験システムに用いられた試験端末やルーターは厚めの文庫本程度のサイズだが,「商用化の際には端末を一体化・小型化する」(シスコシステムズ)という。

(川崎 慎介=日経コミュニケーション)