KDDIと沖縄セルラー電話(au)は5月10日,2GHz帯を使った3G(第3世代携帯電話)システムとして「1xEV-DO」(1x evolution- data only)を導入し,2003年4月から試験サービスを始めると発表した。1xEV-DOは,cdmaOneをベースとしたデータ通信専用のパケット通信技術。データ通信速度は下り平均600kビット/秒で,最大2.4Mビット/秒に達する。米クアルコムが開発した「HDR」(high data rate)をベースにしている。

 2GHz帯は,総務省が3Gサービス用として新たに割り当てた周波数帯。2GHz帯ではNTTドコモが「FOMA」を提供中で,J-フォンも2002年12月からFOMA同様にW-CDMA方式を使った3Gサービスを提供する予定である。一方,auは現行のcdmaOneが利用する800MHz帯において,3Gサービス「1x」を4月に導入。2GHz帯については,2002年9月にサービス開始予定という時期以外は,サービスの内容を明らかにしていなかった。

 auは2GHz帯でのサービス提供時期を7カ月遅らせ,データ通信専用の1xEV-DOを2003年4月から開始することにした。関東地区の一部で,人数を限定した試験サービスとして提供する。試験サービスを通じて商用システムの規模や端末などの最適化を図るとともに,ユーザー・ニーズを把握し,結果を本サービスに反映させる。ただし,試験サービスの具体的な料金やユーザー募集方法,提供エリアなどは検討中。また,試験サービスに使う1xEV-DO端末の形態についても未定である。

 2003年10月からは関東地区で1xEV-DOの本サービスを開始。2004年3月には中部および関西へエリアを拡大する。2003年度中には800MHz帯にも1xEV-DOを導入する。2GHz帯に1xを導入し,音声通話用の帯域としても使うかどうかは未定。なお,音声通話と高速データ通信が可能な「1xEV-DV」(1x evolution- data and voice)を導入する予定はないという。

 auは2GHz帯への1xEV-DOの導入に先駆け,2000年7月から12月にかけて800MHz帯で1xEV-DOの評価試験を実施,同方式の導入について検討を進めてきた。その結果,安価な無線データ通信サービスが提供できると判断した。料金については不明確な部分が多いが,現行のパケット料金(0.1~0.27円)の数十分の1程度にする見込み。