W-CDMA向けICメーカーとして知られる鷹山は4月2日,都内で記者会見を開き,東京通信ネットワーク(TTNet)のPHS事業「東京アステル」を買収することで基本合意したと発表した。6月下旬に,株主総会を経て,事業授受契約書を締結。7月から鷹山のポケベル子会社マジックメール(旧東京ウェブリンク)が,PHS事業を引き継ぐ計画である。既存のアステル・ユーザーへの影響はない。

 鷹山はまた,東京アステル事業の買収に合わせて,マジックメールの子会社で第二種電気通信事業者であるマジックメールサービスを買収すると発表。マジックメールサービスは,マジックメールのポケベル/PHSサービスなどを活用した各種移動通信サービスの提供を予定する。

 買収後のマジックメールサービスはまず,今秋から無線LAN機器を使ったホットスポット・サービス「Bit Stand」を東京23区内などで始める意向である。記者会見では,鷹山の高取直社長が「基地局は80mごとに設置する」と説明。このことから,Bit Standの無線アクセス装置は東京アステルのPHS基地局と同じ場所に設置するものと見られる。

 Bit Standの最大データ伝送速度は2Mビット/秒である。ユーザーは,市販のIEEE802.11b対応の無線LANカードを使える。Bit Standの料金体系は明らかではないが,インターネット接続サービスとIP電話サービスを提供する。サービス・エリアは順次拡大していきたいとしている。

 また,マジックメールサービスは2003年秋をめどに,マジックメールのポケベル網を使う通信デバイス「マジックメール・ユニット」を内蔵した無線LANカードを提供する意向である。この製品を使うことで,「020」で始まる電話番号によるIP電話の着信を実現する。さらに,より広域なモバイル通信を実現するために,PHS通信機能も内蔵させることも検討している。