三重県津市に本社を置くCATV事業者のZTVは,5月にIP電話サービスを開始する。サービス名称は「Z-PHONE」。インターネット接続サービス「Z-LAN」のユーザーに対して,付加サービスとして提供する。国内のCATV事業者で,VoIP(voice over IP)技術を使った商用の電話サービスを提供するのは,ZTVが初めて。

 Z-PHONEの利用料金は,月額の付加機能使用料を500円程度,Z-PHONEユーザー同士の通話を無料とする予定。NTT東西地域会社の加入電話への発信は,「市外通話はNTTより確実に安くするが,市内通話は時間帯などによって割高になる可能性もある」(吉田要・通信事業部長)。これは,ZTVが長距離通信事業者のNTTコミュニケーションズと相互接続して,加入電話への通話を実現するためである。また,サービス開始当初は加入電話からの着信はできない。

 Z-PHONEに契約したユーザーは,ケーブル・モデムと一体型のIP電話アダプタに通常の電話機を接続してサービスを利用する。アダプタには加入電話回線も接続できるため,加入電話からの電話も同じ電話機で着信可能。Z-PHONEの障害時などは,加入電話経由で発信することもできるという。

 IP電話の発着信を制御するプロトコルには「MGCP」(media gateway control protocol)を採用した。MGCPは,ぷららネットワークスが提供中の「ぷららフォン」や,ヤフー/BBテクノロジーが提供する予定の「BB Phone」でも使用するプロトコル。「CATVインターネットのIP電話でMGCPを採用するのは,世界でも当社が初めて」(吉田部長)と言う。

 CATV事業者の電話サービスとしては,ジュピターテレコム系の事業者が関東地区や関西地区などで「J-COM Phone」を提供しているが,これは東西NTTと同様の電話交換機を使ったサービスである。