総務省の諮問機関である情報通信審議会は3月18日,「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策のあり方についての特別部会 競争政策委員会」の第1回会合を開催した。その中で,電気通信事業の事業区分制度の見直しに議論が集中した。

 現行制度では,回線設備を保有する通信事業者を第一種,保有しない事業者を第二種と区別している。委員会のメンバーである菅谷実慶應義塾大学教授は,「1985年に決まった現行制度は,データ通信が主体のサービス実態にそぐわなくなっている。新制度を探ってもいいはず」と口火を切った。他の委員からも同調する声が相次いだ。

 これに対し総務省は,見直しの必要性を認めながらも,「事業区分を完全に廃止すると,ユーザー保護の確保が難しくなる」と主張した。しかし,根岸哲神戸大学教授らが「事業区分とユーザー保護の確保は切り離して考えるべき」と一刀両断。制度の抜本的な見直しを予感させる第1回会合となった。

 同委員会は,情報通信審議会が2月13日に公表した電気通信事業の競争政策の指針を具体化したプログラムを作成するのが目的である。

(島津 忠承=日経コミュニケーション)