独ハノーバーで開催中の「CeBIT 2002」で,無線LAN製品の普及促進を目指す業界団体WECA(The Wireless Ethernet Compatibility Alliance)が3月13日(現地時間),無線LAN製品やホットスポット・サービスの展望などに関する記者会見を開いた。「IT不況に見舞われているにも関わらず,無線LAN製品の出荷台数は伸び続け,累計出荷台数は2億台を超えた」(WECAの主要メンバーの一人である米マイクロソフトのCJ・コーベット・ビジネス部門マネージャ,写真左)。

 WECAは,無線LAN規格の「IEEE802.11b」と「IEEE802.11a」に準拠した製品の相互接続試験を実施しており,認定ロゴ「Wi-Fi」(IEEE802.11b向け)と「Wi-Fi5」(IEEE802.11a向け)を発行している。3月12日時点で,WECAが認定ロゴを発行した機器は285製品に上る。主な内訳は,「アクセス・ポイントが37%,PCカードが32%,PCIカードが16%(ミニPCIカードを含む),USBクライアントが7%」(カーク・アルコーンWECAマーケティング担当議長,写真右)だという。さらに,日立製作所など15社がWECAに加わり,参加企業が142社になったことも明らかにした。WECAのボード・メンバー企業は,米アギア,米シスコ・システムズ,米インターネック・テクノロジーズ,米インテル,米インターシル,米マイクロソフト,フィンランドのノキア,米シンボル・テクノロジーズの8社。WECA参加企業の6割が北米,3割がアジア,1割が欧州企業だという。

 無線LAN製品は,企業や家庭での利用が進む一方で,ホットスポット・サービスを実現する製品として2001年ごろから注目を浴びている。WECAは「ホットスポット・サービスは北米を中心に,2002年から大幅に利用場所が増えていく」(アルコーン氏)と見る。WECAが提示した米ガートナーの資料によると,2001年時点で北米に存在したホットスポット・サービス向けアクセス・ポイントは約1000カ所。これが,2002年に5000カ所以上,2003年には1万を大きく上回るという。アジア太平洋地域と欧州は,それぞれ2003年時点で2000~3000カ所に達する。ただし,WECAはこの予想値を「少々控え目かもしれない」(コーベット氏)と補足した。

 実際にはまだ,多くのホットスポット・サービスは試験的に提供されており,さまざまなタイプの事業者がビジネス・モデルを模索している段階である。WECAは,今後ホットスポット・サービスを商業的に成功させられる可能性が高い事業者として,「既存の携帯電話事業者が有力」(コーベット氏)との見解を示した。その理由としては,(1)既存の顧客データベース・システムや課金システム,料金徴収システムなどを活用することで安価にサービスを提供しやすい,(2)無線技術とセキュリティ技術に関するノウハウを蓄積しており,特に企業ユーザーからの信頼が厚い――ことを挙げた。

 現在,IEEE802.11bを改良して最大データ伝送速度を11Mビット/秒から54Mビット/秒に高速化する「IEEE802.11g」が標準化されている。WECAは「IEEE802.11g対応製品は2002年第4四半期に登場するだろう」(アルコーン氏)と予想。WECAは,同規格に準拠した製品の相互接続試験は2003年第2四半期から開始する計画である。