光ファイバ・ネットワーク構築事業を手がける独立系大手の米グローバル・クロッシング(GC)は,米国時間の1月28日,米ニューヨーク州の連邦破産裁判所に連邦破産法11条(チャプタ11)の適用を申請した。債務超過額は255億ドル。香港のハチソン・ワンポアとシンガポール・テクノロジーズ・テレメディアが,7億5000万ドルを出資して経営を引き継ぐ意向である。

 GCは,97年に設立された新興の通信事業者。主に通信事業者向けに光ファイバの卸売りや,国際専用線サービス,インターネット接続サービスなどを提供している。世界27カ国,主要200都市に光ファイバー・ネットワーク網を構築し,先行投資がかさんでいた。これに近年の通信事業不況のあおりを受けた需要低迷が追い討ちとなり,事業に行き詰まった。GCはハチソン・ワンポアとシンガポール・テクノロジーズ・テレメディアの出資を受け,再建計画を2002年8月末までに連邦破産裁判所に申請することが義務付けられる。

 GCが米マイクロソフト,ソフトバンクと共同で設立したアジア・グローバル・クロッシング(AGC)は,「日本で提供するサービスについては,大きな影響はない」(広報部)としている。ただし,「今後の資金確保については,GCに頼らない形を模索している」(同)と,自身の再建策を進めていることを明らかにした。

 AGCは,日本を含むアジア地区で「PC-1」などの海底光ファイバ・ケーブルや陸上ネットワークなどの構築を手がけている。PC-1は,ADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスの「Yahoo! BB」がバックボーンに利用中。AGCの関連会社で,東京,名古屋,大阪でMAN(metroporitan area network)などを構築するグローバルアクセスも「サービスが停止することはない」(広報担当)としている。

 2001年6月1日には,米PSINetがチャプタ11の適用を申請するなど,米国の通信不況が目に見えて明らかになっている。日本法人のピーエスアイネットについては,ケーブル・アンド・ワイヤレスIDCが1月28日,1660万ドルで買収を完了したと発表した。

(閑歳 孝子=日経コミュニケーション)