総務大臣の諮問機関である情報通信審議会は12月21日,東京電力の第一種電気通信事業の許可に関して一般からの意見募集を開始した。東京電力は2002年3月に,最大100Mビット/秒のFTTH(fiber to the home)サービスを開始する計画で,第一種電気通信事業の許可を申請していた。情報通信審議会は2002年1月18日までに集まった意見を基に,さらに審議を進める。

 情報通信審議会が許可の条件として打ち出したのは,(1)電柱の利用について東京電力本体,グループ通信事業者,他事業者を公平に扱う,(2)電柱の利用状況を東京電力本体,グループ通信事業者,他事業者に分けて定期的に公表する,(3)電柱貸与部門とFTTHサービスを提供する部門での情報流用を防止するため,東京電力社内に業務隔壁(ファイアウォール)を設ける,(4)電気事業とFTTHサービスを提供する電気通信事業で会計を分離する――の4点である。

 東京電力の子会社には,FTTHサービスを提供中のスピードネットや,企業を光ファイバで直結する直加入電話サービスを提供する東京通信ネットワーク(TTNet)がある。また,東京電力は企業向けに専用線などのサービスを提供するパワードコムにも出資している。

 こうした条件を付けたのは,東京電力がアクセス網構築には不可欠な電柱を関東圏で約7割保有しているうえ,関東圏の電気事業をほぼ独占しているため。東京電力本体やグループ企業だけに優先して電柱を貸し出したり,通信事業者の電柱利用や電気事業によって集めたユーザー情報を使ってFTTHサービスの営業をすると公正な競争ができなくなる。

 東京電力は,公正競争を確保するためにこれらの条件を受け入れる考えである。そのために,社内カンパニー制を導入して電気事業部門と電気通信事業部門の会計や情報を切り離すことを検討している。電気料金とFTTH料金のセット割引は提供しない予定である。