総務省は12月19日,NTT東西地域会社やADSL(asymmetric digital subscriber line)事業者を集めて公聴会を開催した。NTT局内に機器を設置するコロケーションや,中継用光ファイバ貸しの運用方法について各社から意見を聞いた。孫正義ソフトバンク社長兼BBテクノロジー社長,イー・アクセスの千本倖生社長,アッカ・ネットワークスの坂田好夫社長などが出席。イー・アクセスやアッカと,BBテクノロジーの意見が対立した。

 NTT地域会社はコロケーションや中継用光ファイバ貸しの運用方法について,総務省に接続約款の変更を申請している。変更の背景には,「Yahoo! BB」を提供するBBテクノロジーが,NTT局内のコロケーション場所や中継用光ファイバを未使用も含めて広範囲に確保したことがある。コロケーション場所や光ファイバが不足し,他事業者のサービス提供に支障が出る恐れが出てきた。

 イー・アクセスは,「このままでは2002年初頭にも,一部のエリアでADSLサービスを提供できなくなってしまう。未使用分は直ちに他社に解放してほしい」(千本社長)と,特定の事業者を念頭に訴えた。また,設備提供側となるNTT地域会社は,設備の有効活用のためコロケーション場所や光ファイバを上限を設定したり,利用実績に基づいて通信事業者に配分することも検討中と説明した。

 これに対して矢面に立った格好の孫BBテクノロジー社長は,「他社に加入数の上限を決められるのはおかしい。また,新サービスを始めれば需要は急速に増える」と猛反発。さらに,未使用分設備を他社に解放することについて,「過去に遡って特定事業者に不利になるような運用は絶対反対。利用計画が変われば,自主的に設備を解放することはあり得る。ただし,NTT地域会社もNTT局ごとの利用情報などを徹底的に公表すべき」(孫社長)と強調した。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)