インターネットイニシアティブ(IIJ),日本オラクル,シスコシステムズなど8社が推進する非営利組織「CDN JAPAN」は11月13日,ディジタル・コンテンツ管理機能を備えたコンテンツ配信システム「CDN-Jプラットフォーム」を同日13時に稼働し,ブロードバンド・コンテンツ配信の実証実験を始めたと発表した。

 配信実験には,IIJが相互接続するCATV14社のユーザーと,IIJのインターネット接続サービス「IIJ4U」およびソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)が提供する「So-net」のブロードバンド・ユーザーが参加できる。現時点で,これらのユーザー数は計約25万。年内は無料コンテンツだけだが,2002年1月から有料コンテンツの配信も始める。アニメーションや映画など,300kビット/秒および1Mビット/秒でエンコーディングしたストリーミング・データを約150タイトル用意。毎月約30タイトルを更新していく。実証実験は2002年3月末まで実施する。

 CDN-Jプラットフォームの特徴は,強固なユーザー認証に加えて多様な配信制御を実現したこと。コンテンツ流通と著作権保護の両立を目的に結成された組織「コンテンツIDフォーラム」(cIDf)が策定したディジタル・コンテンツ管理仕様を使う。具体的には,各ディジタル・コンテンツに付与する固有の識別コード「コンテンツID」とユーザーIDを付き合わせることで,ユーザーが契約するインターネット接続事業者(プロバイダ)や居住地域,年齢,閲覧回数などを考慮してコンテンツ配信を制御できる。コンテンツのストリーミング・データも暗号化して配信し,閲覧を許可したユーザーだけに復号化キーを発行する。

 CDN-Jプラットフォームは,IIJが構築を進めてきた高速ネットワーク・プラットフォーム「HSMN」(high speed media network)上に構築した。IIJのデータ・センターに実証実験用の配信サイトを設置するが,実際のコンテンツ・データはIIJの網端やSo-netネットワークに設置したキャッシュ・サーバーからユーザーに配信。ネットワークの混雑に影響されにくい配信網を作り上げた。

 CDN JAPANは,コンテンツ配信向けプラットフォームの構築およびコンテンツ配信のビジネスモデルの検証のために組織された非営利団体。3社のほかに,イーエムシー ジャパン,伊藤忠テクノサイエンス,サン・マイクロシステムズ,SCN,日本ヒューレット・パッカードが参加している。また,今回のコンテンツ配信実証実験には,CDN JAPANのメンバー企業のほかに,IMAGICA,エム・ティー・ヴィー・ジャパン,小学館プロダクション,昭文社,第一興商,日活,リアルネットワークスなど20社が参加する予定。

(安井 晴海=日経コミュニケーション)