NTTドコモは11月5日,800MHzと1.5GHzの二つの無線周波数帯を利用できるPDC(personal digital cellular)方式の携帯電話「ムーバF211i」(富士通製)を発表した。7日から販売を開始する。

 ムーバF211iは,800MHzの無線周波数帯に加えて,1.5GHz帯での通話も可能な「デュアルバンド」機。利用者のカバーする基地局の電波状況に応じて,端末と基地局が自動的に利用する周波数を選択する。利用者自身が周波数を選ぶことはできない。800MHz帯携帯電話の契約だけで両周波数帯を使えるが,1.5GHz帯を利用して発信した場合も800MHz帯と同じ料金がかかる。この機能が利用できるのは,当初,東京23区内のみ。

 1.5GHz帯サービスは,NTTドコモが「シティフォン」の名称で提供中。関東,東海,関西の一部地域でしか利用できないため,ユーザー数はあまり多くない。NTTドコモは,ユーザー数の多い800MHz帯と比較的空いている1.5GHz帯を併用することで,トラフィックの集中によるふくそうを防ぐ狙いがある。特に,繁華街など人が集まる場所での混雑解消と通話品質の確保に有効としている。
(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)