データ・センター事業を手がけるTIS,ネットワーク機器販売の東京エレクトロンなど5社は10月11日,SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)の構築促進をめざす「B-cubeプロジェクト」を発表した。狙いは,国内のSAN市場を拡大させること。異なるSAN関連ベンダー機器の相互接続性検証やSAN構築のコンサルティングを12月初めから提供する。

 プロジェクトには上記2社のほか,ストレージ・システム導入のコンサルティングを手がけるエントレージ・ブロードコミュニケーションズ,ファイバ・チャネル・スイッチ・メーカーのブロケード コミュニケーションズ システムズ,データ管理ソフトを手がけるベリタスソフトウェアが参加。各社分業でプロジェクトを進める。

 各社の担当は(1)エントレージがプロジェクト全体のまとめ役とSAN構築のコンサルティング,(2)TISが検証環境と運用サービスの提供,(3)東京エレクトロンがシステム導入と機器の調達,(4)ブロケードが相互接続検証センターの運営ノウハウとファイバ・チャネル・スイッチの提供,(5)ベリタスがデータ管理ソフトの提供――となっている。

 B-cubeプロジェクトはサービス開始に先立ち,11月に東京都江東区にあるTISのデータ・センター内に相互接続検証センターを構築する。そのため参加5社は,共同で当初約4億円を投資する。さらに,需要の伸びに合わせて施設や人材拡充を目的に数十億円規模の追加投資を考えている。

 2002年2月以降は,TIS以外のデータ・センター事業者にも参加を募り,複数のデータ・センター間をファイバ・チャネル・インターフェースで相互接続。リモート環境からSANを管理するノウハウを蓄積する。

 ブロケード コミュニケーションズ システムズの親会社である米ブロケードは,約4年前から米国で同様の相互接続検証センターを運用し実績をあげている。国内法人のジェームス・ラロン社長は,「米企業はSAN構築時に,多数のベンダー機器を使用するが,日本企業はベンダー1社にすべてお任せになってしまう」と,まず日米のSAN構築環境の違いを説明。「B-cubeにより,異なるベンダー機器の相互検証が可能になれば,日本企業も特定ベンダーに依存しない最適な製品選択が可能になる」(同氏)と,今回のプロジェクトが日本のSAN普及のはずみになる自信を見せた。
(宗像 誠之=日経コミュニケーション)