国内のFTTH(fiber to the home)サービスの提供状況が明らかになった。9月末時点の有線ブロードネットワークス(usen)が提供するFTTHサービス,NTT東日本/西日本が提供する「Bフレッツ」の回線数を合計すると,申し込み数が約1万2400,開通数が約3450回線となった。開通遅れや,提供エリアが狭いことなどから,加入者が急増するADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスの回線数とは大きな開きがある。

 usenは3月から,インターネット接続料込みで月額6100円で最大100Mビット/秒のFTTHサービスを提供中。NTT地域会社は8月から,最大10Mまたは100Mビット/秒のアクセス回線サービス「Bフレッツ」を提供している。Bフレッツの月額料金は3800~4万1100円だが,別途インターネット接続事業者(プロバイダ)に支払う接続料が必要。

 9月末時点の申し込み数の内訳は,usenが7004回線,NTT東日本が約3100回線,NTT西日本が約2300回線。開通数の内訳は,usenが2402回線,NTT東日本が約690回線,NTT西日本が約350回線である。

 usenやNTT地域会社のほかにも,IPレボルーション(IPR),スピードネット,ケイ・オプティコムなどがFTTHサービスを提供中。ただ,IPRは回線数を公開しておらず,スピードネットは未集計で明らかになっていない。また,IPRとケイ・オプティコムはマンション向けに限定。スピードネットは9月末に開始したばかり。つまり,NTT地域会社とusenのサービスが,国内のFTTH回線数のほとんどを占める見通しだ。

 申し込み数に対して開通数が2~3割と少ないのは,光ファイバの敷設工事やユーザー宅への引き込みなどに時間がかかり,開通が遅れているからである。ほかにもFTTHサービスには,提供エリアが東京都の一部と大阪市の一部と狭いことや,月額3000円前後で利用できるADSLサービスより高額,FTTHの高速性を生かすコンテンツが少ない--などの課題がある。

 usenは10月から提供エリアを政令指定都市の一部に拡大したり,NTT地域会社も順次東京23区や大阪市内でエリアを拡大中。また,来春には東京電力,九州電力,中国電力などが相次いでFTTHサービスを開始し,サービスの選択肢が増える。ただし,ADSLより高額のFTTHサービスを選ぶほどの魅力あるコンテンが登場したり,開通遅れの課題が解決しないと,FTTHサービスがADSL並みに普及するのは難しそうだ。