東京電力は10月3日,FTTH(fiber to the home)事業に参入すると発表した。2002年3月に,東京都の一部でサービスを開始する計画である。東京電力は,インターネット接続事業者(プロバイダ)に対して,東京電力のセンター局と加入者宅を結ぶ最大100Mビット/秒の光ファイバ回線を提供し,プロバイダがユーザーに向けてFTTHインターネット接続サービスを提供する。
サービス開始時の提供エリアは,東京都目黒区,大田区,世田谷区の一部。2006年3月末までに,東京都23区,武蔵野市,三鷹市の全域に拡大する。月額料金は明らかにしなかったが,「先行するNTT地域会社や有線ブロードネットワークス(usen)のFTTHサービスと競争力がある料金水準に設定する」(東京電力の築山宗之常務)。2003年3月末時点で約7万世帯,2006年3月末時点で約30万世帯の加入を目指す。
東京電力が,プロバイダにFTTH回線を提供するという形態を採用した理由は,「多くのプロバイダに光ファイバを利用してもらえる形態の方が,ニーズが増えて,事業がうまくいくと判断したから」(築山常務)。子会社の東京通信ネットワークやスピードネットだけでなく,要望がある全てのプロバイダにFTTH回線を提供する方針だ。
東京電力は,FTTH事業に対して5年間で約650億円を投資する。投資のほとんどを約5万kmに及ぶ加入者線の光ファイバ新設にかける。東京電力は12月にも,総務省に第一種電気通信事業免許を申請する予定である。
このほか,東京電力は吉本興業と共同で,10月中にFTTHサービスで配信するコンテンツを提供するための企画会社を設立する。新会社は,コンテンツの収集,開発,著作権管理などを担当する計画である。