総務省は9月14日,VoIP(voice over IP)技術を活用するIP電話サービスの音声品質基準と電話番号体系の策定を目的とする研究会「IPネットワーク技術に関する研究会」の第2回会合を開催した。

 音声品質基準の検討では,エンドユーザーが品質を判断しやすくするため,一定の基準による点数を定めるべきとの意見が挙がった。ただし今回の研究会では,どのように点数を定めるかまでは踏み込まなかった。このほか,NTT持ち株会社の大竹伸一第二部門長は「IP網から110番などの緊急電話に発信するのは,現状では技術的に難しい」と指摘。現状で規定すべき基準と,策定を見送るべき基準を区別する必要があるとした。

 一方,電話番号体系はITU(国際電気通信連合)で検討作業が進んでいるENUM(イーナム)を採り入れるとの案が挙がった。ENUMは,電話番号をドメイン名に変換することで,IPアドレスとの対応付けを可能にする体系である。

 研究会は今回挙がった意見を反映してさらに検討を進め,年内をメドに基準を策定する。ただし,同研究会が策定する基準は,あくまで通信事業者がサービスを提供する際に参考にするガイドラインという位置付けになりそう。研究会の参加メンバーから「通信事業者のサービス内容を縛るものにはするべきではない」(座長を務める斉藤忠夫中央大学理工学部教授)という意見が相次いでいるためだ。

(島津 忠承=日経コミュニケーション)