9月11日午後11時前後(日本時間:以下同じ)に発生した米国の同時多発テロの影響で,国内の通信事業者のサービスにも影響が出始めた。ニューヨークの世界貿易センタービルの倒壊によって,現地の通信センターの電源供給が断たれているためだ。

 KDDIは9月14日,米国子会社であるテレハウスアメリカで提供している国際通信サービスが停止していると発表した。影響が出ているのは,国際専用線104回線,国際フレーム・リレー・サービス/ATMサービス125回線,IPバックボーン・サービス3回線,映像回線6回線。今のところ対米通話など公衆回線への影響はない。

 同社のセンターは,ビル倒壊のあった地区の近隣にある。事故発生日の翌日,12日午前5時36分に,同センターへの電源供給がストップ。その直後に自家発電装置からの電源供給に切り替え,サービスを継続した。その後,発電装置の燃料不足が懸念されたが,ニューヨーク市当局などとの協力により,給油は可能になっていた。だが,14日午前6時37分に発電装置がオーバーヒート。給電を停止したため,通信サービスも停止した。

 発電装置のオーバーヒートの原因は不明である。また,テレハウスアメリカはマンハッタン島内にもう一つの収容局があり,この収容局経由で提供しているデータ通信サービスには影響は出ていないとしている。

 インターネット接続事業者大手のインターネットイニシアティブ(IIJ)のサービスにも,同様の被害が出ている。IIJのニューヨークNOC(network operation center)は,マンハッタン島内の現在立ち入り禁止となっている地区にあり,電源供給が断たれている。同社も自家発電装置を使ってサービスを継続していたが,発電装置のオーバーヒートにより,14日午前6時36分にサービスが停止した。

 影響が出ているサービスは,企業向けの専用線インターネット接続サービスと,国際ローミング用のダイアルアップ接続サービス。ダイヤルアップ接続サービスは,米国内のフリーダイヤル経由での接続などでバックアップしているが,専用線接続サービスは電源復旧を待つ状態。10社以上の企業に影響が出ている。

 このほか,NTTコミュニケーションズや日本テレコムでは,現時点でマンハッタン島内にある設備には影響は出ていない。ただし,米国側の別事業者から提供を受けている中継局までのアクセス回線や,国際専用線などが停止している場所もあるため,対米拠点に通信できなくなっている企業ユーザーがいる。NTTコムでは,国際専用線および国際フレーム・リレー・サービスで30回線が不通になっているとしている。