ニューヨーク市の世界貿易センタービル,ワシントンの国防総省などで起きたテロ攻撃の影響で,9月12日の夕刻(日本時間)に至っても日本から米国への通話がつながりにくい状況が続いている。

 日本から米国向けの通話で6割程度のシェアを持つと見られるKDDIでは,米国でテロが発生した直後の日本時間午後11時過ぎからトラフィックが急増。「ピーク時には通常時の10倍~20倍にあたる通話が発生した」(KDDI)ため,通話の接続規制を実施した。接続規制は日本時間の12日午後3時時点でも継続している。

 米国が深夜帯に入った午後3時(日本時間)時点での通話率(通話が成立して正常に完了する率)は6割程度。ピーク時に比べると徐々に通話率は回復しているが,米国が朝を迎える時間帯からはまた通話が増える可能性もあり,「予断を許さない状況」(KDDI広報部)である。

 他の国際電話事業者でも同様に通話が急増している。日本テレコムも昨夜半のピーク時に一時的に接続規制を実施。12日午後3時時点の通話率は6割程度という。NTTコミュニケーションズでも通常時に比べ,通話率が半分程度まで落ち込んでいる。

 国際通話の接続規制は,電話交換網全体のダウンなど不測の事故を防ぐための措置として執られるもの。通話率が通常よりも落ちる原因としては接続規制のほか,米国内の電話網のふくそうによるものが考えられる。

 日本AT&Tによると,世界貿易センタービルの地下にある米AT&Tの一部の機材がテロの被害を受けており,近隣の通話に影響が出ている可能性があるという。インターネットのトラフィックについては,各インターネット接続事業者とも,特に影響は出ていないとしている。