NTTドコモは8月28日,第3世代携帯電話サービス「FOMA」対応の携帯電話機にライブ映像を配信するサービスの実証実験を,10月1日から開始すると発表した。同実験に使う「FOMAライブ映像配信プラットフォーム」は,米パケットビデオと共同開発したもの。インターネット上のWebサイトからリアルタイムに送られるライブ映像をFOMA端末に配信できるようにする。

 実験には綜合警備保障,東京ガス,三菱商事,JTB,全国朝日放送,電通,ノースウエスト航空など多様な業種の31社が参加。それぞれが映像コンテンツを提供する。実験期間は,2002年2月28日まで。「商用化するかどうかは,実証実験の動向を見たうえで決める」(NTTドコモ)。

 FOMAライブ映像配信プラットフォームは,NTTドコモの映像センターとFOMAネットワーク,インターネットおよび企業のWebサーバーなどで構成する。映像センターは,FOMAネットワークとインターネットとのゲートウエイの役割を果たす。端末には,64kビット/秒の回線速度でテレビ電話ができるW-CDMA方式の携帯テレビ電話機を使う。

 携帯テレビ電話機は,映像と音声データの分離・多重方式やファイル形式などを定めたテレビ電話規格「3G-324M」に準拠する。同規格は,W-CDMA方式の詳細仕様を標準化する業界団体「3GPP」(Third Generation Partnership Project)が作成したもの。映像データはMPEG-4形式で,音声データはAMR(adaptive multi rate)形式で扱う。AMRは,W-CDMA方式の携帯電話機による通常の通話でも使われる音声符号化方式である。

 一方,インターネットでは,映像と音声データをリアルタイムで伝送するプロトコルとして,RTP(realtime transport protocol)が使われることが多い。そこで,NTTドコモは,映像センター内にRTPと3G-324Mを変換するゲートウエイ装置を設置。分離・多重方式を変換するほか,ビデオ・コンテンツの映像部分をMPEG-4形式に,音声部分をAMR形式に変換する。

 映像センターには,ライブ映像ではなく事前に登録しておいたビデオ・コンテンツをオン・デマンドで利用するためのアーカイブ・サーバーも設置する。

 さらに,NTTドコモは映像センターを同社のPHSネットワークにも接続。NTTドコモのPHS端末と接続したPDA(携帯情報端末)へのライブ映像の配信も実験する。ただしPDAには,パケットビデオのMPEG-4対応ビデオ再生ソフト「PVPlayer」をインストールする必要がある。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)