ソフトバンク・グループは7月30日,グループ会社のヤフーおよびBBテクノロジーが共同で提供するADSL(asymmetric digital subscriber line)サービス「Yahoo! BB」の本サービス開始を9月1日に延期すると発表した。これまでの予定では,8月1日に本サービス化する予定だった。8月末までは現行の無料試験接続サービスを続ける。また,ブロードバンド・コンテンツを集めた専用ポータル・サイトは,計画通り8月1日にオープンする。

 延期の理由をヤフーは,「NTT回線などの諸手続の遅れからADSL工事が思うように進まず,実用レベルでのADSLサービスの検証にさらに時間がかかるため」(社長室広報担当)としている。現在,Yahoo! BBには数十万を超える申し込みが殺到しており,「立ち上がり当初はどうしても不慣れな面があり時間がかかってしまう」(同)と説明する。

 ただし,2001年末までに世帯カバー率70%までエリアを拡大し,100万ユーザーを獲得するという当初の目標に変更はないという。

 またヤフーは,東京都内で実施した実験サービスで,「ISDNとの干渉やNTT局からの距離によって,実用上問題となる速度低下がほとんど発生しなかった」(同)ことも明らかにした。Yahoo! BBでは,「G.992.1 Annex A」という北米向け規格のADSLモデムを採用したため,通信速度がきちんと確保できるのかどうかが不安視されていた。本サービス開始の延期により,品質面でのユーザーの不安感がさらに高まることを懸念し,品質には問題がないことを強調した。

 9月から徴収するYahoo! BBの料金は,インターネット接続サービスおよびコンテンツ・サービス利用料を含めて月額2467円(ADSLモデムなどを買い取り,加入者線を電話と共用する場合のNTT銅線使用料を含む)。通信速度は最大8Mビット/秒をうたう。従来のADSLサービスより高速で料金は半額以下の水準だ。このため,すでにソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)や朝日ネット,TOKAI,KDDIなどの競合他社は,料金や初期費用の値下げなどの対抗策を打ち出している。

(安井 晴海=日経コミュニケーション)