集合住宅向けにインターネット接続サービスを提供するパワーバンド コミュニケーションズは7月16日,今後のブロードバンド事業の戦略を明らかにした。6月1日に同軸ケーブル網を使う月額4700円のインターネット接続サービス「PowerBand」を開始。今後はCATV事業者と提携し,提供エリアを拡大する計画だ。

 パワーバンド コミュニケーションズは,親会社のチガ・サービスセンター(7月26日にパワーバンドに社名変更予定)が敷設した同軸ケーブルを集合住宅に引き込んでインターネット接続サービスを提供する通信事業者。「セル」と呼ぶ半径1km程度の集合住宅の密集エリアに限定してサービス展開することで効率化を図る。集合住宅とパワーバンド コミュニケーションズのセンターまでは,ケーブル・モデムを使って最大30Mビット/秒で接続。集合住宅内は,電話線を使って最大1Mビット/秒の通信を実現する「HomePNA 1.0」(home phoneline networking alliance 1.0)装置でつなぐ。月額料金は,HomePNA装置を購入した場合で4300円,レンタルする場合で4700円。HomePNA装置の価格は9000円である。

 チガ・サービスセンターの同軸ケーブルを使う現状サービスの提供エリアは,東京都,千葉県,埼玉県,神奈川県の一部。今後は,集合住宅向けサービスに手が回りにくい中小規模のCATV事業者と協力して提供エリアを拡大する。まず東京都港区のケーブルテレビジョン東京と提携して,8月1日から港区内の集合住宅ユーザー向けにPowerBandサービスを提供する。ケーブルテレビジョン東京のインターネット接続回線を集合住宅に引き込んで,パワーバンド コミュニケーションズがサービスを提供。新規に同軸ケーブルを敷設しないで済むため,容易に提供エリアを拡大できる。2002年3月までに,愛知県,大阪府,京都府,兵庫県にも拡大する計画だ。

 パワーバンド コミュニケーションズのロデリック・ボス社長兼CEOは,「2002年初頭に2万ユーザーの獲得する」と目標を掲げる。ADSL(asymmetric digital suscriber line)インターネットなどの競合サービスとは,「高速性を維持して,ユーザーから選んでもらえるようにしたい」(ボス社長兼CEO)。バックボーンは1ユーザー当たり30kビット/秒の帯域を用意して,常時300kビット/秒のスループットを実現できるように設計する計画である。