シスコシステムズは7月11日,ブロードバンドに対応する新製品を発表した。(1)VDSL(very high bit rate digital subscriber line)製品の「LREシリーズ」,(2)ブロードバンド・ルーター「Cisco 1710」,(3)マルチキャスト対応スイッチの「Catalyst 2950シリーズ」と「Catalyst 3550シリーズ」──の3種類である。

 LREシリーズは,電話用の銅線を使って10Mビット/秒で通信するVDSL装置。LANケーブルを敷設していないホテルやテナント・ビルでも,構内電話配線を使ってLANを構築できる。LREの最大通信距離は1.5kmと長く,最大通信距離が100mに制限されているUTP(非シールドより対線)ケーブルを使う10Mイーサネットよりも使いやすい。

 シリーズ名のLREとは,long reach Ethernetの略で,長距離版イーサネットを意味している。価格は,センター側で24回線を収容する「Catalyst 2924 LRE-XL」(写真右上)が109万2000円,端末側の「Cisco 575 LRE CPEデバイス」(写真左下)が4万7000円である。

 Cisco 1710は,ADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスやFTTH(fiber to the home)サービスを利用するユーザー宅に設置するブロードバンド・ルーター。PPP over Ethernet(PPPoE)機能を装備し,PPPoEで接続先を切り替える仕組みを採用しているNTT地域会社のADSLサービス「フレッツ・ADSL」やFTTHサービス「Bフレッツ」などに使える。さらにIPsec(IP security)機能を標準で備え,VPN(仮想閉域網)の構築も可能。価格は35万4000円である。

 Catalyst 2950シリーズとCatalyst 3550シリーズは,映像などのストリーム・データを同時に複数カ所に配信できるマルチキャスト機能を装備するスイッチ。2950シリーズはレイヤー2のLANスイッチで,3550シリーズはレイヤー3スイッチである。価格は,2950シリーズが21万8000円から,3550シリーズが168万1000円。

 LREシリーズとCatalyst 2950シリーズは,すでに6月に出荷済み。Cisco 1710の出荷は8月,Catalyst 3550の出荷は9月の予定。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)