ソフトバンク・グループは6月21日,経営危機状態にあったxDSL(digital subscriber line)事業者の東京めたりっく通信を傘下に収めたことを明らかにした。既に発行済み株式の3分の2以上を取得済みである。インターネット関連の事業統括会社であるソフトバンク・ブロードメディアが子会社のディーティーエイチマーケティングを通じて東京めたりっく通信を統括する。

 ソフトバンク・グループは6月19日にADSL(asymmetric DSL)事業への参入を発表したばかり。東京めたりっくの設備などを加えることで,同事業の早期展開に弾みがつきそうだ。

 ソフトバンク・グループは今後,東京めたりっく通信のADSLサービスを法人向けに特化する見込み。個人向けサービスは,ソフトバンク子会社のBBテクノロジーとヤフーが6月20日から申し込み受け付けを開始した「Yahoo! BB」に一本化する方向である。ただし,東京めたりっくのユーザーは,当面は現状のサービスを継続して利用できる。

 東京めたりっく通信は,経営危機にあることを表明した後に,一部のユーザーにバックボーン回線をGビット/秒クラスに増強することを通知。ユーザー宅に設置したモデムを別の製品に交換していた。資金繰りが厳しい中で,新たに作業費用が発生する取り組みを実施することをいぶかる声もあったが,この時点でソフトバンク・グループの支援を見込んでいた模様だ。

 東京めたりっく通信グループの大阪めたりっく通信は「買収の話は当然あるがまだ検討中」。同グループで7月末にインターネット接続事業者(プロバイダ)のももたろうインターネットと合併する名古屋めたりっく通信は,「今のところ話せることはない」としている。