通信市場の競争促進を目的とする電気通信事業法と日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)の改正案が6月15日,参議院本会議で可決された。施行は2001年中の見通しである。

 改正の主なポイントは,(1)地域通信に限定されていたNTT東西地域会社の業務範囲の拡大を認める,(2)市場支配的と見られる通信事業者に非対称規制をかけ,反競争的な行為を禁ずる--の二つ。

 (1)は,NTT東西地域会社がインターネットなど,新しい通信サービスを提供することを認めるもの。ただし公正競争を確保するという条件が付く。具体的には,NTT東西地域会社に対し,新サービスごとに総務省の認可を受けることを義務付け,通信網の開放を迫る。これにより,他の通信事業者との競争を促進する狙いだ。

 (2)は,市場支配的な通信事業者が他社と接続する際に設定する接続料の算定根拠を公表することを定め,特定の事業者を優遇または差別することを禁ずるもの。対象事業者は総務省令によって定まるが,NTT東西地域会社のほかNTTドコモなどが該当すると見られる。

 このほか改正電気通信事業法では,通信事業者間の紛争を解決するための専門機関の設置や,電話サービスを全国あまねく提供するために通信事業者が費用を負担しあう「ユニバーサル・サービス基金」制度の導入も定められた。

(島津 忠承=日経コミュニケーション)