日本のADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスの月額料金は,米国よりも505円安い――。情報通信総合研究所が6月13日に公表した「ブロードバンド・インターネットの料金に関する調査結果」によると,ADSL料金の日米格差はほぼ解消。米国のADSL事業者が相次いで値上げに踏み切った一方で,日本では料金を値下げする事業者が多く,両者の立場が逆転したという。

 情報通信総合研究所が平均値を出したのは,日米のADSLサービスのシェア上位3社が提示している料金の最安プラン。日本ではNTT地域会社,東京めたりっく通信,イー・アクセスの3社について,最も安くなるADSL接続料とプロバイダ料を合計した。その結果,日本のADSL料金平均は2000年8月に平均6760円だったのに対し,2001年7月には5429円になった。値下がり幅は1331円,割合にして19%となる。

 一方米国のADSL事業者は,SBCコミュニケーションズ,米ベライゾン・コミュニケーションズ,米コバッド・コミュニケーションズの3社。為替レートを1ドル=118.80円で換算すると,2000年8月には平均5142円だったのが,5934円に値上がりした。値上がり幅は792円,割合にして15%となる。両者を比較すると,2000年8月の時点では1618円の差で米国の方が安かったのに対し,2001年7月には505円の差で日本の方が安くなっている。

 米国のADSL料金が値上がりしたことについて,情報通信総合研究所の小澤隆弘取締役は「アナログ回線で満足している家庭が多く,ADSL事業者が予測した以上に加入者が伸び悩んでいる」と分析。ADSL料金は,FTTH(fiber to the home)との対抗で安く設定されているものの「今後,日本もADSL料金が値上がりする可能性は否定できない」(小澤取締役)。