日本通信(JCI)は6月4日,PDA(携帯情報端末)を活用した法人向けソリューション「bモバイル・PDAサービス」を今夏に提供すると発表した。JCIは企業向けに携帯電話の回線リセールおよび料金の一括請求や集計・分計サービスなどを提供する第二種電気通信事業者である。

 bモバイル・PDAサービスは,一口に言えばPDAを使ったリモート・アクセス環境の構築および運用のアウトソーシング・サービス。各種PDA端末とPHSなどの通信サービスを組み合わせ,企業のニーズに合わせてカスタマイズしたソリューションを提供する。同社が2000年6月から提供中の「bモバイル」と呼ぶブラウザフォンを活用したビジネス支援サービスのPDA版に当たる。

 具体的には,JCIがPDA端末および通信回線をユーザー企業に一括してリセールするとともに,企業内へPDAで安全にアクセスできる環境を構築,運用する。単なるアウトソーシング・サービスにとどまらず,企業内の既存グループウエア(Exchange Serverやノーツ/ドミノなど)へのアクセス機能,全国一律1分10円でアクセスできるPHS向けダイヤルアップ接続サービスや,通信料金の公私区分請求サービスも提供する。SSL(secure sockets layer)やワンタイム・パスワードを活用して高いセキュリティを確保することも可能だ。

 同サービスでは,端末として米コンパック・コンピュータの「iPAQ」や米ハンドスプリングの「Visor」,米パームの「Palm」,シャープの「ザウルス」やカシオ計算機の「CASSIOPEIA」などのPDAを選択できる。通信サービスは全事業者のPHS回線や,NTTドコモの携帯電話パケット通信サービス「Dopa」などから選べる。DDIポケットの定額/準定額データ通信サービス「Air H"」にも近々対応する予定。将来はNTTドコモのIMT-2000サービス「FOMA」や,KDDI/auグループが今秋に提供予定の144kビット/秒パケット通信サービスや,2002年秋に提供する最大2.4Mビット/秒の高速パケット通信サービス「1xEV」(HDR)などにも対応する計画だ。

 サービス料金は基本的に個別対応になるが,パッケージ商品として「スタンダード・エディション」,「プレミアム・エディション」,「セキュリティ・エディション」の3種類を用意する。スタンダード・エディションは,(1)ハンドスプリングの「Visor Delux」,(2)コンパクト・フラッシュ・アダプタ,(3)DDIポケットの「C@rd H"64 Petit」--といったハードウエアに加えて,(4)アクセス回線としてのPHS回線,(5)IP-VPN経由で社内にアクセスする「リモート・アクセス・サービス」,(6)社内メールへのアクセス機能「FireMail Plus」,(7)公私区分請求サービス--を組み合わせたもの。100ユーザーで利用する場合,サービス料金は一人当たり月額2500円以下になるという。ただし,通信費はJCIに別途支払う必要がある。PDAやPHSカードなどのハードウエアはユーザー企業にJCIが販売またはレンタルするが,価格は市場価格と同じ程度に設定する。