NTTPCコミュニケーションズとKDDIが,IP-VPNサービスにADSL(asymmetric digital subscriber line)利用の接続メニューを追加する。NTTPCは6月1日,KDDIは6月15日にそれぞれ提供を開始。5月28日にはAT&Tグローバル・サービスがADSLを足回りに使えるIP-VPNサービスを始めたばかり。企業がADSLを拠点間の接続に利用できるサービスの提供ラッシュが始まった。

 NTTPCのサービス名は「CUNets」(closed users network services)。ADSLメニューを加えるにあたって,96年7月から同社が提供している閉域IP網サービス「NNCS」(NTT network connect services)を刷新した。主な変更点は,(1)ADSLをアクセス回線として選択できるようにした,(2)VPNの実現技術を独自仕様からL2TP(layer two tunneling protocol)に切り替えた,(3)サービス・メニューをパッケージである「CUNetsレギュラー」とユーザーのニーズに応じてアクセス回線や保守サービスを選べる「CUNetsプレミアム」に分けた――ことなど。

 CUNetsのADSL接続メニューは,下り1.5Mビット/秒,上り512kビット/秒の一種類。料金は,回線料込み,モデム代別で月額1万8000円。ユーザーIDを二つ以上利用する場合は,追加IDごとに月額8000円かかる。ADSL回線には,アッカ・ネットワークスが提供するサービスを利用する。NTTPCは,個人向けのADSLインターネットではNTT東西地域会社が提供する「フレッツ・ADSL」を採用している。CUNetsで異なるADSL事業者を選んだのは,「グローバルIPアドレスでサービスを提供しているADSLインターネットに対して,CUNetsではプライベート・アドレスを前提としているため」(NTTPCの内田健司・ネットワーク事業部IPサービス営業部長)と,既存サービスとの整合性を理由に挙げる。

 一方KDDIは,既存のIP-VPNサービス「ANDROMEGA IP-VPNサービス」にADSLによるアクセス回線メニューを加える。同社の独自ブランドで提供しているADSLサービスを使う。ADSL利用のアクセス回線料金は,下り最大1.5Mビット/秒の場合,ADSL専用回線でモデム・レンタル料込みで月額5万4200円。このほかに,下り512kビット/秒のメニューもある。いずれも同社の企業向けADSLインターネット・サービス「DION Business-DSL」と同額である。