米マイクロソフトやソフトバンクが出資する通信事業者のアジア・グローバル・クロッシング(AGC)は6月1日,同社の国際専用線の料金を大幅に値下げする。また新たに,ATM(非同期転送モード)やフレーム・リレー(FR)を使う国際通信サービスを追加する。

 国際専用線サービスは,従来の料金から最大で60.9%の値下げを実施する。例えば,東京-米国ロサンゼルス間の月額料金では,1.5Mビット/秒の品目を従来の259万6000円から108万円に変更。45Mビット/秒は従来の1628万円が636万円,155Mビット/秒は3245万円から2101万円に値下げする。

 値下げ後の料金は,国内では破格の割安設定となる。一般に国際専用線の料金は,日本側の回線と海外対地側の回線の料金を,国内と海外の両通信事業者に支払う必要がある。例えば,NTTコミュニケーションズが設定する対米専用線の片側分の料金は,1.5Mビット/秒で月額397万円。KDDIの場合は378万円である。一方,AGCの料金は,日米両側の通信回線を合わせた料金。国内事業者の片側料金と比べても1/3以下という安さになる。

 ここまでの値下げが実現したのは,同社が日米間に保有する海底ケーブル「PC-1」をWDM(波長分割多重)技術を使って低コストで拡張する計画があるため。同ケーブルは99年末に80Gビット/秒で開通したが,将来的には640Gビット/秒まで拡張する。WDMを使えば,実際にケーブルを敷設する費用の1割前後で帯域を拡張できるという。

 ATMおよびFRは主に企業向けの用途を想定したもの。ATMサービスの速度品目は,1.5M~155Mビット/秒までを用意。提供するサービス・クラスは,(1)固定速度型のCBR(constant bit rate),(2)可変速度型のVBRrt(valiable bit rate real time),(3)VBRnrt(valiable bit rate non-real time),(4)ベストエフォート型のUBR+(unspecified bit rate+)──の4種類から選べる。FRの速度品目は,64kビット/秒から2Mビット/秒まで。

 海外への対地は,国際専用線が17カ国47都市。ATM/FRサービスは,11カ国35都市である。同社は3種類のサービスについて6月1日から7月31日までの2カ月間をキャンペーン期間とし,料金を割り引く。ATM/FRサービスの場合,ポート使用料,PVC(permanent virtual circuit)料を合わせた月額料金から25%割り引く。
(滝沢 泰盛=日経コミュニケーション)