NECは5月25日,FTTH(fiber to the home)サービス向けのメディア・コンバータを発表した。1心の光ファイバで,100Mビット/秒で双方向通信できるのが特徴。6月中に出荷を開始する。

 新製品の名称は,「FN100M-C1S」と「同R1S」。C1Sが通信事業者の局に,R1Sがユーザー宅に設置するタイプである。どちらも100BASE-TXのポートを持ち,100BASE-TX信号を光信号に変換して伝送する。1台当たりの価格は,C1Sが20万円,R1Sが19万3000円。このほか,FTTH回線を数多く収容する通信事業者の局向けに,最大32回線収容する集合型タイプも用意する。

 FN100Mでは,WDM(波長分割多重)方式で上りと下りの信号を多重することで,1心だけで伝送できるようにした。下りには1.5μm,上りには1.3μmの光波長を割り当てて多重する。一般的な光ファイバ通信では,上りと下りにそれぞれ1心ずつ合計2心を使う。

 1心の光ファイバだけで双方向通信できれば,FTTHサービスの提供コストを安くできる。加入者線の光ファイバが,1ユーザー当たり1心で済むからだ。例えばNTT東西地域会社が7月に本格サービスを開始するFTTHサービス「Bフレッツ」(仮称)でも,提供料金を安くするために1心で双方向通信する計画。そのためNTT地域会社は4月,1心で100Mビット/秒通信できるメディア・コンバータの調達をかけ,現在採用機器を検討中だ。

 このほかFN100Mは,メディア・コンバータ間で制御信号をやり取りして障害を検出する機能を装備する。また,最大20kmと長距離伝送できる点も特徴である。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)