NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は5月16日,2000年度の決算を発表した。売上高は1兆3555億円,経常利益は816億円。NTTコムは1999年7月から営業を開始したため,前期の営業実績は2000年3月までの実質9カ月間。単純な比較はできないが,経常利益は461億円減益となった。

 内訳を見ると,データ伝送収入が2536億700万円と順調に収益を伸ばした。インターネット接続サービス「OCN」とフレーム・リレー・サービス「スーパーリレーFR」が好調で,それぞれ743億円,619億円を売り上げた。一方で,音声伝送収入はNTTコムの予想を約200億円下回る7569億円だった。通話料金の値下げや割引率の拡大が響いた。通年ベースで換算するとおよそ1000億円の減収という。また,ホスティング事業者の米ベリオの買収にかかる費用などで87億円の営業外損失も発生した。

  NTTコムは2001年度も,売上高1兆3930億円,経常利益540億円と増収減益を予想する。電話会社選択サービス「マイライン」によって競争が激化するため,電話サービスで約1000億円を減収の見込む。データ関連の収入は1000億円以上の増収を見込めるが,設備投資額も相応にかかるため,増益にはつながらないとの予想である。

 このほか,鈴木正誠社長が会見中に,2001年7月から9月ころにIP電話サービスを開始することを明らかにした。フュージョン・コミュニケーションズのように中継網をIP化するサービスではなく,OCNの個人会員同士がパソコンで通話する仕組み。外線発信も可能にする方向で検討している。料金は未定だが,「一般的な電話サービスとは異なる体系にする」(鈴木社長)意向である。
(島津 忠承=日経コミュニケーション)