NTT東日本とNTT西日本は5月15日,総務省に光ファイバの接続料金を認可申請した。今回申請したのは,NTT地域会社が他の通信事業者に対して光ファイバそのものを貸し出す「ダーク・ファイバ」の料金。2000年12月から暫定料金を設定して,xDSL(digital subscriber line)事業者などに提供している。

 NTT地域会社が提供するダーク・ファイバには,加入者系と中継系の2種類がある。加入者系とはNTT局からユーザー宅までを結ぶ部分で,中継系はNTT局間を結ぶ部分のこと。加入者系ダーク・ファイバの料金は,1心当たり月額7898円から月額5537円に値下げする。中継系は,1心,1m当たり年額100円から年額51.48円に引き下げる。

 値下げできる理由は,加入者系と中継系で異なる。加入者系は,今後7年間の需要を見込んで料金を設定し直した。当初は赤字になるものの,将来的に需要が増えると見込み,7年間通せば収支が合う計算だ。中継系は,これまでにかかったコストを積み上げる実績値で計算した結果,ほぼ半額にまで下げられた。

 NTT地域会社のダーク・ファイバを使えば,光ファイバ設備を持たない通信事業者でも,FTTH(fiber to the home)サービスに参入できる。また,光ファイバの両端につなぐ通信機器を通信事業者が自由に選べるため,採用する機器でサービスの機能や速度,料金で他社との差異化も容易。

 総務省はパブリック・コメントを募り,早ければ7月にも認可する。認可後に12月にさかのぼって新料金を適用する。電話線の開放によってxDSLサービスの普及が始まったように,ダーク・ファイバの提供がFTTHサービスの本格普及を加速させる効果があるだろう。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)