無線LANのチップ・ベンダーである米アセロス・コミュニケーションズは,5.2GHz帯の電波を使って最大54Mビット/秒の速度を実現する無線LANの標準規格「IEEE802.11a」に対応するチップ・セットを「NetWorld+Interop 2001 Las Vegas」に出品,デモも実演した。

 デモでは,提携する無線LANベンダーと共同で高速の無線LAN環境を構築。クライアント・パソコン3台に対して同時にMPEG-2フォーマットの動画を転送し,最大11Mビット/秒のIEEE802.11b仕様で転送した場合との違いを比較した。また,ブースには提携ベンダーの試作品も展示。TDKは,PCカード型とMini PCIカード型の子機を出展。米インターメックは,アクセス・ポイントの試作模型を展示した。

 アセロス製の802.11a対応チップ・セットは実装時の設定で,独自仕様のターボ・モードに切り替えることも可能。802.11aとの相互接続性はないが,最大72Mビット/秒で通信できる。チップ・セットは二つのCMOSプロセッサからなり,PCカード型の子機なら,基盤の片面だけにすべての部品を配置できる。これにより,例えば,2.4GHz帯を使う短距離無線通信規格「Bluetooth」などの通信デバイスを裏面に実装して,デュアル・モードで稼働する製品を開発することも可能だ。

 アセロス製の802.11a対応チップを採用する予定の提携ベンダーは,TDK,米プロキシム,米ザーコム,米カードアクセス,米インターメック──の5社。チップの正式出荷は今夏を予定しており,年内には802.11aに準拠した無線LAN製品の出荷も始まりそうだ。

(滝沢 泰盛,米ラスベガス発=日経コミュニケーション)