NTTドコモは5月9日,2000年度の決算数値を発表した。33の子会社と31の持分法適用会社を含む連結での損益状況は,売上高が前年度比26%増の4兆6860億円,経常利益は36.5%増の6869億円と,大幅な増収増益だった。立川敬二NTTドコモ社長は好調の理由を,「iモードなどのデータ伝送利用が好調で,市場全体のパイを拡大できたおかげ」と分析した(写真)。

 売上高4兆6860億円のうち3兆5993億円が電気通信事業収入で,ここに月額基本料と通話料を含む音声伝送収入と,パケット通信料を含むデータ伝送収入が含まれる。残りの1兆866億円は,おもに携帯電話機などの端末販売によるものである。携帯電話の音声伝送収入は3兆1035億円,PHSは841億円,データ伝送収入としてはパケット通信収入が3534億円,ポケベル収入が168億円。音声伝送収入は対前年度比10.8%の伸びにとどまったものの,iモードの好調さに支えられたパケット通信収入が前年度の9倍超と驚異的な伸びを記録した。

 NTTドコモは,2001年度末の契約者数の予想値も発表した。携帯電話に関しては増加の伸びが鈍化すると予想。2000年度は667万増えて3603万となったものの,2001年度は427万増にとどまり,4030万になると見る。このうち,15万が第3世代携帯電話「FOMA」を,また2980万がiモードを利用すると予想している。

 PHSは,2000年度に37万増えており,2001年度も引き続き39万増加するとして181万から220万に推移すると予想する。「PHSはデータ通信利用を主体に売り出す方針に転換したおかげで,収益が良くなってきた。単年度黒字にする自信がついた」(立川社長)という。

 また利用者数の増加に伴い,月額基本料と通話料を合計した1ユーザー当たりの月間利用額が低廉傾向にあることを明らかにした。音声通話だけに着目した場合,月間利用額は99年度の8620円に比べて2000年度は7760円に減少。2001年度はさらに7160円に落ち込むと予想している。ただし,iモード利用者に関しては,それぞれ8740円,8650円,8580円と比較的高い水準で推移するとしている。一方,PHSに関しては1ユーザー当たりの月間利用額が99年度の4790円から2000年度は4200円に減少した。「データ利用が増えたため」(谷公夫取締役経営企画部長)と分析している。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)