「今後の通信事業者のバックボーンには,必ず光スイッチが必要になる」──。米シカモア・ネットワークスのグルラージュ・デシュパンデ会長は5月8日(米国時間),米ラスベガスで開催中の「NetWorld+Interop 2001 Las Vegas」の基調講演に立ち,光スイッチの重要性を強調した。

シカモアは,98年に設立した光ネットワーク関連製品のベンダー。長距離伝送用のWDM(波長分割多重)装置や光スイッチ,MAN(大都市圏ネットワーク)向けのWDM装置などを開発・販売している。同社のデシュパンデ会長は,「今後は遠隔医療やコンテンツ配信など,高速回線が必要なアプリケーションが増えてくる。ユーザーから高速化のニーズがあれば,通信事業者はすぐに対応できなければならない」と,通信事業者の基幹網を高速化する必要性を示した。
しかし,現在,通信事業者が採用しているSONET/SDH(光同期通信網)製品は高価で,高速化は簡単にいかない。そこでデシュパンデ会長は,イーサネット,WDM,光スイッチ技術を組み合わせるネットワーク構想を提案。安価な上に10Gビット/秒まで高速化が進むイーサネットをベースに,WDM技術で光信号の波長を変えて1本の光ファイバに束ねる。さらに光スイッチ技術を使い,波長単位で光信号のまま超高速で交換処理するというものである。こうした超高速ネットワークなら,バックボーンの回線容量が不足してユーザーにサービス開通を待たせるといった事態にはならないというわけだ。
デシュパンデ会長はさらに,「光ネットワーク内でユーザーと帯域に関するデータベースを保有し,通信機器を制御する。この仕組みで,広帯域を使いたいというユーザーの要望に合わせて瞬時に帯域を用意できる」と,ブロードバンド時代の柔軟なネットワークの構想を語った。