NTT持ち株会社は,7月に設立を予定している「光サービス会社」(仮称)の事業計画を変更する方針を固めた。当初,新会社はFTTH(fibet to the home)サービスとインターネット接続,コンテンツ流通事業の3点セットを提供する方針だった。しかし今回,FTTHサービスはNTT東西地域会社の「Bフレッツ」(仮称)を利用する形態に変更した。

 光サービス会社は,動画などブロードバンド向けのコンテンツを配信するインターネット接続事業者(プロバイダ)となる。NTT持ち株会社は自社の子会社として設立する。

 当初の計画では,持ち株会社は光ファイバの敷設までを新会社に担当させる予定だった。しかし,光化戦略を推し進めているNTT地域会社が猛反発。そこで持ち株会社は光ファイバの敷設を従来通り地域会社に任せて,新会社はその心線であるダーク・ファイバを利用する形態に変更。さらに今回の方針変更で,光サービス会社はダーク・ファイバすら使わず,地域会社のFTTHサービス「Bフレッツ」を利用する形態になる。

 当初,光サービス会社は新興事業者の有線ブロードネットワークス(usen)に対抗するために設立する予定だった。usenは3月から需要密度の高い地域で低料金のFTTHサービスを提供中。持ち株会社は,usenに対抗するには広域展開が求められるNTT地域会社よりも,新会社を設立してusenと同様に地域を限定したFTTHサービスを提供する方が得策と考えた。しかしBフレッツを利用する方法に変えたことで,新会社設立による競争促進効果は薄れたと言えそうだ。

(吉野 次郎=日経コミュニケーション)