NTTドコモは4月26日,第3世代携帯電話サービス「FOMA」の事実上の延期を正式に発表した。予定通り5月30日にサービスを開始するが,9月30日まではユーザー数を4000人程度に限定した試験サービスとする。本格サービスとして一般ユーザーが利用できるようになるのは10月1日からだ。

 NTTドコモの立川敬二社長(写真上)は4カ月間の試験期間を設けたことについて,「FOMAは従来の携帯電話とまったく違う新しいシステム。試験に十分な時間を費やして安定したサービスを提供する方が得策と判断した」と説明した。

 試験サービスの内容は大きく分けて4種類。(1)音声通話,(2)最大64kビット/秒の回線交換型データ通信,(3)上り64kビット/秒,下り最大384kビット/秒のパケット通信,(4)音声通話とデータ通信を同時に使える「マルチアクセス」──である。その上で,現行のPDC方式携帯電話で提供中のブラウザフォン・サービス「iモード」やショート・メッセージ・サービスのほか,データ通信の高速性を生かした映像配信やテレビ電話のサービスを提供する。

 携帯電話機は,「スタンダード・タイプ」,「ビジュアル・タイプ」,「データ・タイプ」の3種類を用意し(写真下),試験中はユーザーに無料で貸与する。月額基本料は無料だが通信料は徴収する。

 FOMAの音声通話料は30秒当たり9~19円で,PDC方式携帯電話と同水準とした。パケット通信料は,現行のiモードの6分の1に当たる128バイト当たり0.05円に抑えた。一方,64kビット/秒の回線交換型データ通信料は30秒当たり16.5~34円で,音声通話料の約1.8倍。ショート・メッセージ・サービスの送信料は1回5円とする。

 NTTドコモは本格サービスの開始時には,月額定額利用料を支払うとパケット通信料を割り引くプランを設定する予定。また,本格サービス開始時のエリアは国道16号線内と限定的になる。このため同社はエリアの狭さを補うために,現行PDCとFOMAの両端末を1契約同一番号で切り替えて使えるようにする計画である。