NTTドコモは,5月30日開始予定のIMT-2000サービス「FOMA」の提供時期や形態などについて,公式コメントを発表した。FOMAサービスは予定通り5月末に始めるが,ユーザー数を限定した試験サービスになる可能性があることを正式に認めた。本格サービスの提供という意味では事実上の延期になる。

 公式コメントの内容は以下の通り。「NTTドコモはFOMAサービスについて,基地局・ネットワークなどの構築をすでに終了し,当初予定通りの提供エリアで5月末からサービスを開始すべく準備中である。ただし,導入当初は利用者数を限定してサービスを提供することも含め,最終調整をしている。今週中には正式に(提供時期やサービスの提供形態について)発表する」--。

 FOMAで利用する無線規格のW-CDMAは,NTTドコモなどが中心となって開発した規格。ただし,W-CDMAによる携帯電話サービスの商用化はNTTドコモが世界で初めてであり,フィールド実験などを除けば運用実績はない。基地局や端末などを開発するメーカーにとっても初めての経験である。

 こうした理由から,基地局や端末などFOMAサービスを構成するさまざまな個所でトラブルが発生する可能性は高い。このためNTTドコモは,当初はノウハウの蓄積やトラブルの回避に努めた方が得策と判断したと見られる。FOMAのモニター・ユーザーの募集方法などは明らかにしていないが,端末の無料貸与や基本料金の無料化なども視野に入れているようだ。また,一般ユーザー向けの本格サービスは9~10月ころの提供を検討している。