NTTドコモは,5月30日に開始する予定だった次世代携帯電話(IMT-2000)サービス「FOMA」の本格的なサービス開始時期を先送りする方針を固めた。NTTドコモ幹部が,「当初は3000人程度を対象とした限定的なサービスにする」方針を明らかにした。一般向けの販売開始時期については,「現在検討中だが10月ころになる」(同幹部)見通しである。

 5月からのサービスは限定的な試験提供になるとはいえ,無料ではなく通話料を徴収する方針。サービス・エリアについては,予定通り東京23区,横浜市,川崎市とする。今のところNTTドコモは正式にサービス延期を発表していないが,総務省にサービス開始を申請する4月末までには明らかにする予定である。

 NTTドコモは5月30日にFOMAサービスを開始し,初年度10数万ユーザー程度のユーザーを獲得する計画だった。サービス延期の理由は明らかになっていないが,サービス開始間際に延期の方針を固めたことから,システムに何らかの不具合が見つかったか,「最大384kビット/秒」を売り文句とする高速データ通信機能が予想通りの能力を得られていない可能性がある。NTTドコモはFOMAサービス開始に向けて,現在システムの最終調整に入っている段階だった。

 また,NTTドコモがサービスを延期する方向に傾いた背景には,対抗馬となるJ-フォンのサービス延期もある

と見られる。J-フォンは,NTTドコモと同じW-CDMA方式でIMT-2000サービスを開始する予定だが,3GPP(third generation partnership project)におけるW-CDMA規格の大幅変更などから,サービス開始を2001年12月から半年後の2002年6月に遅らせることを決めている。

(川崎 慎介=日経コミュニケーション)