J-フォン・グループは4月16日,ブラウザフォン・サービス「J-スカイ」向けの広告事業会社「ジャパン・モバイル・コミュニケーションズ」(J-モバイル)を設立すると発表した。NTTドコモ・グループ,KDDIグループに続き,これで携帯電話事業者グループが自ら出資するブラウザフォン・サービス向け広告会社が出そろう。

 J-モバイルは,5月下旬をめどに資本金4億9000万円で設立される予定。筆頭株主はサイバー・コミュニケーションズで,出資比率は46%。このほか,J-フォンが34%,J-フォン東日本が10%,J-フォン東海が5%,J-フォン西日本が5%,それぞれ出資する。サイバー・コミュニケーションズは,インターネットや商用オンライン・サービスなどを対象とした広告代理店で,電通が49%,ソフトバンク・メディア・アンド・マーケティングが47%出資している。

 J-モバイルは,「J-スカイの公式サイト向け広告事業の総合窓口」(J-フォン西日本)という位置づけになる。具体的には,(1)J-スカイ向け広告スペースや広告商品の開発・販売,(2)J-スカイ対応端末への広告配信,(3)広告そのものの企画・制作,(4)J-スカイ対応端末を利用したマーケティング手法の開発・販売--を手がける。J-スカイの公式サイトに広告を出稿したいクライアント企業は,これまで通り各公式サイトの運営会社と直接交渉するやり方に加えて,今後はJ-モバイルとやり取りすることもできるようになる。複数の公式サイトへ広告を出稿する際などに効率的だ。

 これに対して,NTTドコモ・グループはiモード向け広告事業会社「D2(ディーツー)コミュニケーションズ」を2000年6月に,KDDIグループはauとツーカーのEZweb向けに「A1(エーワン)アドネット」を2000年12月に設立している。両社とも事業内容はJ-モバイルとほぼ同じで,資本金4億9000万円も3社横並び。ただし出資する広告代理店が異なる。D2コミュニケーションズには電通が46%,NTTアドが3%出資。A1アドネットには博報堂が35%,アサツー ディ・ケイが8%,デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムが4%,デルフィスが2%出資している。

 J-フォン東日本は,「会社設立時期は他事業者より少し遅れたが,実際の広告事業展開で他社がそれほど先行しているわけではない。インターネット関連広告で実績のあるサイバー・コミュニケーションズと組む意義は大きい」と,J-モバイルにも十分巻き返しのチャンスがあると見ている。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)