auグループの中核企業KDDIが4月12日,cdmaOne携帯電話向けブラウザフォン・サービス「EZweb」へのJava技術の導入計画を発表した。Java対応サービスの開始時期は6月または7月。まずは数機種のサービス対応端末を発売する。

 ブラウザフォン・サービスへのJava技術の導入は,NTTドコモ・グループが「iモード」で1月下旬に実現済み。iモード向けWebサイトからダウンロードしたJavaアプリケーションを,Java VM(Java仮想マシン)を搭載したiモード対応携帯電話機「503i」シリーズで利用できる。EZwebでのJava対応サービスも同様の利用イメージとなる。

 ただし,auとNTTドコモのJavaサービスでは,Java関連技術の仕様やJavaアプリケーションの開発規定が異なる。このため,実際には異なるJavaアプリケーションが多数登場する見込みである。

 例えば,auはJavaアプリケーションのファイル・サイズを最大50Kバイトに規定。iアプリは最大10Kバイトのため,au向けの方がより高機能なアプリケーションを開発しやすい。またauは,コンテンツ・プロバイダが携帯電話機に保存してある個人情報や電話機情報/機能と連携したJavaアプリケーションを開発・提供することを認める。iアプリでは制限している。

 ここでいう個人情報とは,電話帳データ,端末電話番号,位置情報,通話料金/時間情報など。電話機情報/機能とは,電界強度やバッテリ残量,機種などの情報と,バイブレータやLEDの制御機能,音楽(着信メロディ)再生機能,データ・フォルダ内ファイルの利用などを指す。

 しかし個人情報や電話機情報/機能とJavaアプリケーションの連携には,セキュリティ面での懸念が大きい。そこでauは,こうしたJavaアプリケーションはau自身で厳密な審査をした上,auが用意するWebサーバーからだけダウンロードできるようにする。その代わり,個人情報や電話機情報/機能と連携しないJavaアプリケーションに関しては,任意のWebサーバーからダウンロード可能にする。

 auは,cdmaOneサービス・システムを高速・大容量化し始める10月をめどに,EZwebの機能拡張も実施する計画だ。具体的には,EZwebサービス利用時のパケット通信速度を現行の最大14.4kビット/秒より速くする。ただし「どの程度にするかは検討中」(KDDIの高橋誠au事業本部au商品企画部モバイルインターネットグループリーダー)。また,コンテンツ記述言語を改訂し,インターネット標準のHTML(hypertext markup language)との互換性を高める。GPS(全地球測位システム)を使った精度の高い位置情報を活用したアプリケーションの開発も可能にする。

 急速に進む携帯電話機の高機能化や今回のJavaアプリケーションの導入などにより,ブラウザフォン向けコンテンツのファイル・サイズは拡大傾向にある。このため,通信料の値下げを望む声が高まっている。KDDIは,「どこかのタイミングで現行の料金を見直さなければならないのは確か。NTTドコモが5月末に始める第3世代携帯電話サービス"FOMA"の通信料が明らかになった後,具体的な料金を決めていく」(高橋グループリーダー)意向である。
(杉山 泰一=日経コミュニケーション)