総務省は4月4日,iモードに代表されるブラウザフォン・サービスのビジネスモデルの在り方についての報告書の原案を策定した。4月11日もしくは12日に正式に報道発表し,原案への意見を一般から募集する。集まった意見を反映させた上で,5月末をめどに報告書を完成させる意向である。

 実際に報告書を策定しているのは,総務省が取りまとめる「次世代移動体通信システム上のビジネスモデルに関する研究会」(IMT-2000ビジネスモデル研究会)。2000年7月に設立され,NTTドコモやKDDI,J-フォン東日本といった携帯電話事業者や,ブラウザフォン向けのコンテンツ・プロバイダなどが参加している。

 現在,ブラウザフォン・サービスは携帯電話事業者の一元管理の下で提供されている。このビジネス・モデルは,ブラウザフォン市場の早期立ち上げには効果的だった。しかしIMT-2000ビジネスモデル研究会は,「市場のさらなる発展のためには現行のビジネスモデルを改善すべき」と提言している。

 特に,5月末にまずNTTドコモが始める第3世代携帯電話(IMT-2000)でのブラウザフォン・サービスは,大容量コンテンツのやり取りが可能になり,端末の高機能化も進むと予想されることから,日本の重要な産業基盤の一つに成長する可能性が高い。そこで研究会は,ブラウザフォン・サービスを利用してできるだけ多様な企業がビジネスを創出・展開しやすくできるよう様々な方策を提案する。

 報告書の原案には,具体的な方策として(1)ブラウザフォンに関する技術仕様の開示方法とプロセスの透明化,(2)ブラウザフォン向けのインターネット接続サービスやポータルサイトをユーザーが選択できるようにサービスを改善すること,(3)ブラウザフォン向けWebサイトの評価機関を設立すること──などが挙げられている。

 このうち評価機関の設立作業は,IMT-2000ビジネスモデル研究会が報告書の策定後に解散するため,2000年11月に発足した「モバイルコンテンツビジネスの環境整備の方策に関する研究会」が引き継ぐ。総務省は,「2001年度末をめどに評価機関を設立したい」意向だ。評価機関は,携帯電話事業者からも総務省からも独立した第三者機関として設立する予定。同機関での審査基準を満たしたWebサイトに関しては,それが一般サイトであっても携帯電話事業者のコンテンツ利用料徴収代行サービスを受けられるようにする。

 また,前述の二つの研究会からの要請もあって,NTTドコモの立川敬二社長は3月22日にiモードのオープン化について3項目を公約済み。具体的には,(1)iモードの公式サイトの認定基準を公開,(2)評価機関の設立作業への協力,(3)2年後をめどに他のインターネット接続事業者にiモード通信網を開放--を目指す。このうち(1)については,すでに3月22日からNTTドコモのホームページで公開している。
(杉山 泰=日経コミュニケーション)