NTT持ち株会社の宮津純一郎社長は4月4日の会見で,今国会に提出される予定の電気通信事業法とNTT法の改正案について,「我々の主張が理解された」との見解を表明した。

 主な改正は,市場支配力を持つ事業者に他社より厳しい規制を課す「ドミナント規制」と,NTTが競争促進策を講じる代わりに,県内通信に限定されているNTT東西地域会社の業務範囲の規制を緩和するという「インセンティブ規制」の二つ。

 当初の総務省案では,移動通信分野のドミナント規制の対象を,シェア50%を超える事業者にする方針だった。NTTドコモ・グループを狙い撃ちするためである。しかし,その基準が25%超に引き下げらる見通しとなり,同時に規制内容も緩和された。これにより,NTTドコモ以外の移動電話会社も規制の対象となりそうだ。

 また総務省は,インセンティブ規制によってNTTが講じた競争促進策に2年の期限を設け,効果が見られない場合はNTTグループの解体を含む法律の見直しを盛り込む方針を示していたが,法案からは削られた。宮津社長は「こうした問題に期限を設けることは間違いであり,良かったと思う」と述べた。

 改正法案は4月10日に提出される予定である。
(吉野 次郎=日経コミュニケーション)