xDSL(digital subscriber line)事業者のイー・アクセスは4月2日,総務省に対し,NTT東西地域会社のADSL(asymmetric DSL)関連の対応に問題があると意見を申し立てた。具体的には,(1)イー・アクセスのユーザーがADSLサービスを申し込みする際のNTT地域会社の対応,(2)NTT地域会社がダーク・ファイバ提供する際の対応──の2点である。

 NTT地域会社は営業窓口である「116」の番号で,イー・アクセスのADSLサービスに申し込みを希望するユーザーと電話の名義人が同一か確認したり,ISDNからADSLに必要なアナログ電話へ変更の受け付けをしている。この際,「116のオペレータにNTT地域会社のフレッツ・ADSLサービスへの申し込み変更を勧められたというユーザーの声が集まっている。名義人が異なる場合も,当社のサービスに申し込んだユーザーは不親切な対応をされて開通が遅れるケースが多い」(イー・アクセス)という。

 また,イー・アクセスはNTT地域会社のダーク・ファイバを活用して基幹網を構築中だが,ダーク・ファイバの提供時に,「NTT地域会社と協議を始めてから,利用できるかどうかという回答があるまで4カ月も待たされた。光ファイバがあるはずの区間でも,提供可能な光ファイバがないという回答を受けた」(イー・アクセス)と不満を述べている。

 一方,NTT地域会社の主張は大きく食い違う。「116で他社の申し込みユーザーに自社サービスの営業をしないように通達を出しているし,名義人の確認方法は改善に向けて検討している。ダーク・ファイバ提供の協議では,当初は大量の接続申し込みを受けたのと処理の不慣れで回答に1カ月以上かかった。しかし,その後は改善している」(NTT東日本)と反論。意見書を受け取った総務省は,「イー・アクセスとNTT地域会社の双方から事情を聞き,必要であれば行政指導などを実施する」(料金サービス課)。
(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)