インターネットイニシアティブ(IIJ)は2001年秋,デュアル・スタックによるIPv6インターネット接続サービス「IPv6デュアル・スタックサービス」(仮称)を開始する。商用インターネット接続事業者(プロバイダ)としては世界初のサービスとなる。

 デュアル・スタックは,同一網上でIPv4とIPv6の両方のパケットを共存させる技術。IPv4とIPv6を異なるプロトコルとして利用する。IIJは,99年にIPv6パケットをIPv4パケットにカプセル化して伝送する「IPv6実験サービス」(トンネル型)を,2000年にIPv6専用の試験サービス「IPv6ネイティブサービス」(ネイティブ型)を試験サービスとして提供していた。デュアル・スタックサービスは三つめの接続形態として用意する。

 デュアル・スタックサービスを利用することで,IPv4を使う従来のインターネットとIPv6ネットワークに1本の回線でアクセスできるようになる。ネイティブ型のようにIPv4用とIPv6用でアクセス回線を別に用意したり,トンネル型のようにカプセル化機能を持つトンネル・サーバーを置く必要はない。デュアル・スタックサービスの料金と,実験/商用どちらのサービスとして提供するかについては未定。ただし,サービスの品質は商用レベルを目指すという。

 一方,当初は今年4月に有償サービスに移行する予定だった既存の2種類のIPv6試験サービスは,試験提供期間を1年間延長し,2002年3月末までとした。延長の理由についてIIJは,「試験サービスという位置付けで,より幅広くユーザーに評価してもらうため。マーケティング上の理由で,技術的な問題ではない」と説明している。
(阿蘇 和人=日経コミュニケーション)