NTT-MEは3月21日,企業向けのADSL(asymmetric digital subscriber line)インターネット接続サービス「エンタープライズADSL」を提供すると発表した。サービス開始は4月23日の予定。アクセス回線には,NTT東西地域会社のADSLサービス「フレッツ・ADSL」を活用する。

 エンタープライズADSLの特徴は,複数のグローバルIPアドレスを固定的に割り当てること。ほとんどのフレッツ・ADSL対応サービスは,接続するたびにIPアドレスが変わる仕組みになっている。NTT-MEのエンタープライズADSLでは固定アドレスを割り当てるため,企業ユーザーがADSLインターネット回線を引き込んだ拠点にWebサーバーを設置して情報発信などにも使えるというメリットがある。

 エンタープライズADSLには,8個のIPアドレスを割り当てる「エンタープライズADSL8」と,16個のIPアドレスを割り当てる「同16」の2種類がある。月額料金は,エンタープライズADSL8が2万4800円,同16が3万1800円。このほか,NTT地域会社のフレッツ・ADSLの月額料金が必要。フレッツ・ADSLの月額料金は,1本の銅線に電話とADSL信号を多重し,ADSLモデムをレンタルする場合で4600円。通信速度は,下り(NTT局からユーザー方向)が最大1.5Mビット/秒,上りが最大512kビット/秒である。

 さらにNTT-MEは6月にも,フレッツ・ADSLをアクセス回線に利用したIP-VPN(仮想閉域網)サービスも開始する計画。フレッツ・ADSL回線を引き込んだ企業ユーザーの拠点にIPsec(IP security)装置を設置して,NTT-MEのネットワーク経由で通信する形態である。月額2万円以下での提供を計画する。

 ADSLサービスは個人向けの低料金インターネット向けアクセス回線として急速に普及を始めたが,最近ではNTT-MEのほかにもKDDI,日本テレコム,NTTPCコミュニケーションズなどが企業向けメニューを始めている。また,ADSLをアクセス回線に使う低料金のIP-VPNサービスも始まる。今後,企業でADSLサービスを利用するケースが増えそうだ。
(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)