総務省の情報通信審議会は3月6日,NTT東西地域会社が認可申請中の固定電話機向けインターネット・サービス「Lモード」について公聴会を開催した。4月ころにサービスを開始したいNTT地域会社と,「県内通信に限定されている業務範囲を逸脱している」とするKDDIなど競合事業者が改めて互いの主張を展開,議論は平行線のまま終わった。総務省は3月16日に開催する情報通信審議会で結論を出す。

 Lモードは,NTTドコモが携帯電話機向けに提供する「iモード」の固定電話機版サービス。ディスプレイ搭載の専用電話機で,文字主体のコンテンツを閲覧したり,メールの送受信が可能である。NTT地域会社は,「要望があればどのインターネット接続事業者(プロバイダ)とも接続する。NTT地域会社以外のポータル・サイトへのリンクも用意する」(NTT東日本の大賀公子・営業部ネットワークサービス部門担当部長)などと,サービスが他社に開放されていることを強調。市場支配力の乱用を懸念する競合事業者をけん制した。

 これに対してKDDIの奥山雄材社長は,「LモードはNTT再編の趣旨に反している。趣旨に乗っ取ればNTTコミュニケーションズが提供すべき。Lモードを認可してしまえば,それを法的な前例としてNTT地域会社がプロバイダ事業や長距離・国際通信に進出する危険性がある」と懸念を表明した。「NTT地域会社のプロバイダ事業を,Lモード端末に限定することを認可の条件としてはどうか」(イー・アクセスの千本倖生社長)との意見も出た。

(吉野 次郎=日経コミュニケーション)