auグループは3月1日に開かれた投資銀行主催のセミナーで,2001年半ばをめどに発売するJava対応携帯電話機の仕様を明らかにした。Javaアプリケーション開発用の「プロファイル」と呼ぶAPI(application programming interface)に,業界標準規格の「MIDP」(mobile information device profile)を採用する。J-フォン・グループもMIDPの採用を決めており,2001年6月までに対応電話機を発売する予定。MIDP対応のJavaアプリケーションを開発すれば,auとJ-フォン両方の携帯電話機で利用できるようになる。

 auグループは従来,Java対応携帯電話の仕様について「他の事業者との互換性を重視する」という方針だけを明らかにしていた。今回はこの路線を踏襲した具体的な仕様を公表。具体的には,米サン・マイクロシステムズが組み込み機器向けに開発したJava仮想マシン「KVM」,Java実行環境の「CLDC」(connected limited device configuration)を実装する。さらに,CLDCの上位に当たる開発APIにMIDPを採用する。MIDPは,サンが日欧米の携帯電話事業者や大手端末メーカーと共同で策定した。

 ただし,auとJ-フォンはMIDPに加えて,それぞれ独自の拡張APIも追加する。こうした独自APIを基に開発したアプリケーションは,他社のJava対応携帯電話機では実行できない。

 一方,NTTドコモ・グループは1月から順次,Java対応携帯電話機「503i」シリーズを提供している。同シリーズもKVMとCLDCを実装しているが,NTTドコモはMIDPとは部分的に異なる独自プロファイルを採用した。このため,503i向けのJavaアプリケーションとauやJ-フォン向けJavaアプリケーションとの間では互換性はない。

(高槻 芳=日経コミュニケーション)