xDSL(digital subscriber line)回線向けの動画配信システムの開発・販売を手がけるスターディーエスエル(スターDSL)は2月16日,シスコシステムズと共同でxDSL回線を使った映像配信のデモを実施した。符号化速度は700kビット/秒。デモの対象者はコンテンツ保持者や投資関係者など。

 デモは,シスコとスターDSLが機材を持ち寄り,実際のxDSL回線を想定した環境で実施。スターDSLは,一般家庭向けセットトップ・ボックスとVOD(video on demand)サーバーを,シスコはDSLAM(DSL access multiplexer)の「Cisco 6260」,ブロードバンド・アクセス・サーバー(BAS)の「Cisco 6400」,家庭向けのADSLモデムをそれぞれ提供した。

 家庭側の環境は,テレビ受像器,セットトップ・ボックス,ADSLモデムで構成。アナログ映像端子を装備したセットトップ・ボックスに家庭用のテレビ受像器を接続,セットトップ・ボックスとADSLモデムは100BASE-TXでつないだ。電話局側の環境は,DSLAM,BASおよびVODサーバーで構成。DSLAMのATM(非同期転送モード)インタフェースにBASを接続した。BASとVODサーバーは100BASE-TXのLANで結んだ。

 VODサーバーには,MPEG-4をベースとしたスターDSLの独自方式で符号化した転送速度700kビット/秒の映像を保存。xDSL回線を経由してセットトップ・ボックスに向けてストリーム配信した。セットトップ・ボックスは,受信したデジタル映像をダウンロードしながら復号化を実行,同時にテレビ受像器にアナログ映像を出力した。

 このデモで,スターDSLは,700kビット/秒程度の回線でも,VHSビデオと同等の画質の映像を提供できることを強調した。MPEG方式のデジタル映像にはブロック・ノイズと呼ばれるノイズが乗りやすい。デモ映像では映像シーンによってノイズの量にかなりばらつきが見られた。

 スターDSLは,今回実演した動画配信システムをxDSL回線事業者などに売り込む予定。現段階ではまだ,スターDSLのシステムの採用を明らかにしているxDSL事業者はいない。

(米田 正明=日経コミュニケーション)