総務大臣の諮問機関である情報通信審議会は2月16日,NTT東西地域会社が前日に認可申請した固定電話機向けのインターネット・サービス「Lモード」について,認可か妥当かどうかの判断を見送った。3月上旬に通信事業者各社から意見を聴取した後,3月16日の審議会で再度審議する。NTT地域会社は原則として県内通信に事業範囲が限られているが,その範囲を超えるとして総務省が難色を示した格好だ。今後,総務省がNTT地域会社に対して,サービス内容の変更を迫るのは確実である。

 Lモードは,NTTドコモが提供するiモードの固定電話機版サービス。NTT地域会社はLモード用の県間通信網を構築し,さらにインターネット上のコンテンツへのアクセスを可能にする。県間通信網とインターネット接続には,大手インターネット接続事業者(プロバイダ)のインターネットイニシアティブ(IIJ)とNTTPCコミュニケーションズ(NTTPC)のIPネットワークを利用する予定だ。

 ただLモードは,NTT地域会社が協定を結んだプロバイダと一体で提供するサービスであり,プロバイダの料金もNTT地域会社が代行して徴収する。ユーザーからは,県間通信網やインターネット接続を事実上,NTT地域会社が提供しているように見える。総務省はこうした点を問題視した。

 今回の問題では,Lモードを今秋にも新設する「インセンティブ規制」の対象としたい総務省の意向も見え隠れする。総務省は今通常国会でNTT法を改正し,NTT地域会社の業務範囲拡大に認可制度を導入することを目指している。業務範囲拡大の認可条件として,NTTグループに地域通信網の開放など競争促進策の実施を強いる“アメとムチ”型の規制である。これに対し,NTT地域会社は「Lモードを新規制の対象にされることは絶対に阻止する」(NTT東日本の幹部)としており,今回,法改正の前に認可申請に踏み切った。

(吉野 次郎=日経コミュニケーション)