通信機械工業会(CIAJ)は2月から,ADSL(asymmetric digital subscriber line)モデムと局側装置DSLAM(DSL access multiplexer)の相互接続試験を開始する。CIAJが事務局となり,総務省の高度通信システム相互接続推進会議(HATS推進会議)の「DSL分科会」と連携を図りながら,接続試験のための必要事項を洗い出していく。

 CIAJはまず,1月30日をめどに接続試験を実施する主体組織「相互接続試験実施連絡会」を設置,参加するメーカーや通信事業者の公募を開始する。その後,2月中旬に接続試験の適用範囲の決定やガイドライン,ルールなどの作成に取りかかる。実際に接続試験を開始するのは6月初旬の予定。試験期間は決まっていないが,ADSLチップのバージョンアップ時などを考慮し,連絡会は恒常的な組織とする。

 こうした措置は,2月から始まるADSLモデムの売り切り制をにらんだもの。売り切り制開始後,ユーザーが量販店などでどのメーカーのADSLモデムを購入しても,ADSLサービスに必ず接続できるようにするためである。ADSLモデムおよびDSLAMは現在,ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)が勧告した標準仕様に準拠しているが,標準仕様は低レイヤーのプロトコルしか規定していない。実際の通信にはより上位のプロトコルも必要である。

 このため,実際には制御信号のやり取りの方法などは,メーカー独自仕様になっている。接続試験では,こうした独自プロトコル部分の調整方法や,接続の検証を実施する。例えば,メーカー各社が自社のDSLAMに採用した独自仕様を他社に公開することで,他社のADSLモデムがその仕様を実装できるようにするという方法がある。

(米田 正明=日経コミュニケーション)