ネットワーク機器向け半導体チップ・メーカーの米ブロードコムは1月23日,IP電話機向けの半導体チップ「BCM1100 Internet Protocol 電話エンジン」を発表した。BCM1100は,アナログ音声信号の符号化/復号化機能に加えて,優先制御機能付きのフレーム・スイッチ機能を1個のチップに実装した点が特徴。量産開始は2001年4月ごろを予定。量産価格は3150円となる見込みだ。

 BCM1100は,10BASE-T/100BASE-TX自動認識に対応したインタフェースを,2ポート備える。このため同チップを搭載したIP電話を利用すれば,ユーザーはパソコンをIP電話経由でLANに接続できる。従来のように,パソコンとIP電話を別々にLANに接続する必要がなく,ケーブル配線の簡素化が可能になる。

 スイッチ機能はIEEE802.1p準拠のQoS(quality of service)に対応する。BCM1100上で符号化した音声信号フレームを優先的に処理することで,LAN上での音声通話品質の劣化を軽減できる。

 アナログ音声の符号化方式は,G.711/G.726/G.729A/G.729AB/G.729E/G.723.1/G.723.1A/G.728を実装。IP電話の呼制御プロトコルとしては,H.323/H.248/SIP(session initiation protocol)に対応する。VoIPゲートウエイなどの製品に搭載する場合には,ITU-Tが勧告するFAX送信の国際標準T.38のFAXリレーを追加することも可能だ。

 米国では,ブロードバンド向けネットワーク機器を開発・販売する米アクセス・メディアが,同社のVoIPゲートウエイに搭載することを表明している。現在はサンプル出荷中で,「日本でもNECなど数社に供給している」(ブロードコムコーポレーション日本事務所の知名定清代表)。

(加藤 慶信=日経コミュニケーション)